既に自分の店をお持ちで、経営も今のところ順調に行っている。そろそろ次のステップに…とお考えの方にはサロンを法人化するサービスを提供しております。
個人事業から法人化することにはメリットがあります。もちろんデメリットもあるのですが、法人化を検討されているということは売り上げも順調に伸びているのだと思います。
サロンをもっと大きくしたい、とお考えのかたにはおそらくメリットの方が大きくなります。
スタイリストのサラリーマン化
- スタイリストの独立志向の弱まり
- 不況などによる安定志向
かつては、美容師業界も職人的な傾向が強く、アシスタントで入社したサロンのオーナー(師匠)から色々学びながらスタイリストになって活躍し、時期が来たら独立して自分のサロンを開業する、という人が多かったように思います。
今でもそういったキャリアを歩む方は沢山いらっしゃいますが、ベテランのサロンオーナー様とお話をしていると、スタイリストになってからかなりのキャリアを積んでも独立しない人が増えてきたように思う、と仰られていました。
そのサロンにとっては第一線で活躍できるスタイリストがずっといてくれるのでありがたい面が多い一方で、しかるべき役職を作ったり、これまで以上に給与を上げたりすることを考えなくてはならなくなります。
不況になるとどの業界も安定志向の人が増えてきますが、美容業界も例外ではないようです。
避けて通れない「求人」のこと
- 社保完備のところに集中する
- ここでも安定志向
- 大手志向
サロンを法人化する場合、たいていは事業拡大路線ではないかと思いますが、そうすると一番大きな問題は求人・採用面ではないでしょうか。オーバーストアになっていることに加え、少子化で美容業界に入ってくる若者が少なくなっていて、新卒採用はかなりの競争になっているようです。
働く側からすると、より良い環境で働きたいと考えるのは当たり前のところですから、社会保険完備のサロンに応募が集まりやすくなります。社会保険加入対象者の拡大で今後状況は変わってくると思われますが、10~20年前は個人サロン=社保なし(国保)、法人サロン=社保あり、というのが一般的でした。そうなるとやはり法人サロンの方に求職者は集まりやすかったようです。
これから美容業界に入る若者にとっては、サロンオーナーの技術の差やアシスタントの育成環境などはまだ正確に分からないことも多いでしょうから、どうしても就労環境の善し悪し(良いように見える、良くないように見える、ということですが)に影響されてしまいます。そうすると自然と大手サロンに人気が集中することになります。
もちろん、大手サロンなので資金力があり、求人採用に広告宣伝費を大きく投入できるという事情もありますが、同程度の露出であったとすれば大手法人サロン>中小個人サロンとなりがちです。
経営上のメリット
サロンを法人化することの経営上のメリットはやはりスケールさせたい場合にプラスになる面が多いといえるのではないかと思います。経費の考え方も個人事業主時代とは大きく変わりますし、煩雑になることがほとんどですが、それでも大きなメリットになりえます。
新たな事業にチャレンジする場合でも、法人の方がスムーズに進められることが多いでしょう。いわゆる「社会的信用」のような部分です。法人化していると、「より事業に本気なんだ」と捉えられる傾向があるのは間違いありません。
美容室の法人成りの注意点
サロンを法人化する際に注意しなければならない点は、事業を継続しながら法人化の手続きを進める必要がある、という点です。個人オーナーとしてサロンをオープンし、事業拡大のために法人化するケースが多いので、既にサロンがあり、通ってくださるお客様がたくさんいらっしゃる状況ではないかと思います。
髪が伸びないお客様はいらっしゃらないので、定期的にサロンにご来店いただいているかと思います。そんなときに「法人化するのに手続きがたくさんあるのでサロンを1~2カ月お休みします」とお伝えできるしょうか?難しいと思います。となると、通常通りサロンを開けてサービスを提供し続けながら法人化の手続きを進めることが求められます。
美容室は月曜日が定休日のところが多いため、市役所、法務局、税務署などは開いてます。ですが、1週間全力でサービス提供して休みの日に法人化の手続きで走り回って…というのは相当ハードです。
法人成りしたからといって売上が増えるわけではない
サロンが順調に成長しているからこそ、法人化を検討されるのだと思いますが、法人化することそのもので売上が増えるわけではありません。お店が増える、優秀なスタイリスト・アシスタントが集まる、投入できる経費が大きくなるからその結果として売上につながっていきます。
ということは法人成りの手続きそのものには売上を増やす効果はほとんどないといえるかもしれません。あくまでも土台の部分やツールにすぎない位置づけかと思われます。
しかも、たいていは今後2度とやることはない、1度きりの作業です。そこにどこまで時間と労力をかけますか?ということは意識しておいてもよいのではないでしょうか。
面倒な手続きや書類作業は専門家にお任せし、オーナー様はオーナー様にしかできないもっと大切なことに時間を使っていただき、サロンを大きく成長させていただければと思います。