サロンのコンセプトは開業の検討段階からしっかり作っておきましょう。コンセプトをしっかりと練り上げておくことで方向性を見失わずに、どういう手を打てばいいのか、などが見えてきます。
コンセプトを開業後も定期的に確認し続けていくことも大切です。方向性を見失っている時は、この基本コンセプトを忘れていることが多かったりするものです。
コンセプトの立て方
「白を基調として清潔感のある都会的なイメージ」「レトロな雰囲気で内装はウッディな感じ」というようなものではコンセプトとして抽象的過ぎます。これらはお店の雰囲気にしか過ぎません。もっとより具体的に考えていく必要があります。
「いつ、どこで、誰に、何を、どのように、提供するのか」というレベルまで掘り下げて具体化することが望まれます。この点、先ほどの例では全く足りないことがお分かりになるかと思います。
まずは「誰に何を」から考える
あなたが自分のお店で提供したいのは誰に対するサービスですか?20代の女性なのか、30~40代のビジネスマンなのか、それとも子供のいる主婦なのか。もしあなたが今現在スタイリストだとしたら、一番最初に顔が浮かんだお客様でも構いません。その方はどういう方か、を具体化していくのです。
次に、そのお客様に何を提供していくのか。20代の女性ならトレンドは押さえておく必要があるでしょうし、3,40代のビジネスマンなら派手なカラーリングやパーマは必要ないという判断ができます。
コアターゲットを絞り込む
実は20代女性、3,40代ビジネスマン、子供のいる主婦、ではまだ絞り込みが足りません。より詳しく、ディテールまで具体化してイメージを膨らませる必要があります。
20代女性、と一口に言っても学生なのか、社会人なのか、社会人だとして、どのような職種で、月当たりいくら位まで美容に使うことができるのか。この位まで絞ることができれば、かなり具体化できています。
コアターゲットから逆算していく
あなたのお店のコアとなるターゲットが具体化できたら、おのずと多くのことが決まります。ビジネスマンがターゲットなのに19時閉店、では来店してもらうのは難しいでしょう。立地も郊外ではなく、駅の近くや繁華街に近いエリア、というふうになります。経済的には余裕がある可能性がありますが、妻帯者の場合は意外と自由になるお金は少ないのでは、と想像できます。
メニュー、価格帯、接客態度なども導き出せる
コアターゲットが具体化できたら、プッシュしていくメニューや、価格帯、望ましい接客姿勢などもある程度イメージできます。この中心となるターゲット像がぼやけていると、何でもやる、どこにでもあるお店、となりかねず、お客様があなたのお店を選ぶ動機が乏しくなります。
想定ターゲット外のお客様も当然来る
コアターゲットの具体化は非常に重要だということをお伝えしてきました。では、そのターゲット像から外れたお客様はあなたのお店に来ないのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。お客様がお店を選ぶ動機は様々なので、さまざまなお客様が来店されます。大切なのは想定したターゲットにしっかり訴求できているか、ということです。
もし採算がとれていないなら、なぜ想定していたターゲット層に訴求できていないのかを分析する必要があります。立地なのか、営業時間なのか。価格帯なのかメニューなのか。改善できるポイントがどこかにあるはずですから、検証し、改善していきましょう。
コンセプトを美容室の設計に反映させる
コアターゲットとして、年齢や性別、職業、趣味などのレベルまで具体化できると、お店の設計にも生かすことができるようになります。そういうお客様にとって好まれるように設計していくのです。
店舗デザインや設計は、デザイナーか施工業者に依頼することになります。ターゲットやコンセプトをしっかり伝えておくことがイメージ通りのお店を作るうえで重要になります。抽象的な「こんな感じ」という伝え方では解釈の幅が大きくなってしまい、結果的にイメージと大きくかけ離れてしまいます。
お店がイメージと違う仕上がりになる原因はあなたにある
ほとんどの場合、あなたがしっかりと具体的なコンセプトやターゲットを伝えきれていないことが原因です。もちろん、デザイナーや施工業者側に原因があるケースもありますが、たいていはオーナーがキッチリと説明しきれていなかった事の方が多いと言えます。
コンセプト立案はスタイリストのうちから始められる
開業するにあたって、まず何から始めればよいのでしょう?このような悩みをお持ちの方は多いと思います。まずはしっかりとしたコンセプトを立てることから始めてください。これはスタイリストのうちからコスト0で始められることです。
将来的に独立したいとは考えているけれど、何から始めたらよいか分からないまま時間だけが過ぎて行って…。
今勤めているサロンに不満があるわけでもないし…。勤務サロンに不満があるから独立するのではなく、あなた自身の夢のために独立してください。サロンスタッフでいるのが悪いと言っているのではありません。スタイリストとして活躍されることは十分に価値のあることです。
スタイリストとして思うようにいかないから独立するのではなくて、独立・開業はポジティブな理由でしていただきたいと考えます。
消極的な理由で独立・開業を検討された場合、「~でないこと」という項目が多くなります。~でないこと、の~の部分は基本的にはネガティブな要素でしょうから、あながち悪いわけでもありません。
しかし、美容室・ヘアサロンに今求められている役割は「気持ち良く過ごせる空間、時間、サービス」という所です。
さきほどの例でで例えてみましょう。
「気持ち悪い空間、時間、サービス”でないこと”」となります。2つを比較した時、どちらがよりお客様の心に響くでしょうか?また、目指すクオリティが高くなるのはどちらでしょうか?
答えは言うまでもありませんね。